注文住宅のこれからの目標
建築家に依頼する注文住宅、ハウスメーカーに依頼する注文住宅、工務店に依頼する注文住宅があります。それぞれの特徴を知ってから行動しましょう。
経営者と労働者、消費者と企業、保険契約者と保険会社聞にも発生する。
経営者は労働者に最大の貢献をしてもらいたいと考えているが、労働者はそのような貢献よりも自分の利益を優先するはずであり、その貢献度を客観的に決める方法がないのが現実である。
これも労働者のほうが自分の労働や貢献について、経営者よりも多くの情報を有しているからである。
消費者は企業の生産物が安全であることを望んでいる。
しかし、その生産物の品質を安全な水準に維持するには、多大なコストが必要である。
商品が安全でなくても、企業はそれを他の原因によるものと責任逃れをすることも、場合によってはできる。
保険契約者は事故が起こっても、それを他者のせいにするかもしれない。
保険会社は契約者の注意努力を最大限に維持したいが、それには多くのコストがかかる。
これらの契約によって発生するコストを、エージェンシー・コストという。
医師と患者にもエージェンシー・コストは発生する。
患者は最も安い費用で病気を治してもらいたいが、医者は異なる目的を持っているかもしれない。
安上がりでない方法や、保険点数の高い方法が選択されるかもしれない。
多くの誤診や医療ミスが報告きれているのは、患者の目的とは異なる目的を医師が持っていることを示唆している。
この意の例では、委託人は家主で、代理人は借家人である。
家主は自分の住宅を借家人に委託して、大切に使ってもらうように契約を結びたいのだが、先ほど述べたような障害のために、十分な契約が結べない。
その結果、さまざまな損失やコストが発生する。
これらを「エージェンシー・コスト」と呼ぶ(表It--持家の場合には、委託人と代理人が一致しているために利害の対立は生じない。
その結果、エージェンシー・コストも発生しない。
自分で自分の住宅を使う場合には、契約を結ぶ必要もないし、トラブルの可能性も低い。
このようなエージェンシー・コストは、規模の小さな家と大きな家を貸す場合で当然異なってくる。
規模の大きな家のほうが、どのような借家人が住むかによって、その資産価値は大きく左右されるはずだから、規模の大きな借家のほうがエージェンシー・コストも相対的に大きくなると考えられる。
規模の小さな住宅はそれほど資産価値の低下も見られないであろうから、エージェンシー・コストは規模の変佑にともなって変化し、規模が大きくなるにつれて高くなると考えられる。
規模の大きな家を人に貸すことの費用は、規模の小さな家を貸す場合の費用よりも、何倍も高くなるということが予想される。
いい換えると、限界的なエージェンシー・コストは、規模の増加につれて逓増すると考えられる。
規模の一単位の増加によって発生するエージェンシー・コストの増加分は、規模の増加にともなって上昇すると考えられる。
これが、規模の大きな借家が存在しない一つの原因である。
家主にとって、規模の大きな住宅を建設してそれを貸すことは、非常に大きなリスクをともなうのである。
豪邸と呼ばれるような住宅のほとんどが持家であるのは、このようなコストの差を反映しているからである。
豪華な家を他人に貸すのは、危険すぎるのである。
失うものが多すぎて、高いものや品質のよいものを他人に貸したくないのと同じ原理である。
次に、持家を買う場合のコストについて考えてみよう。
持家を建設、そして購入する場合には、一定の取引費用がかかる。
住宅を売買するときには、家を借りる際にはない費用が発生する。
売買一回当たりについて一定の固定費用が発生する。
たとえば、住宅を建設するには、建設会社との契約、発注、設計などについて固定的な費用が発生する。
そしてこの固定的な費用は一回かぎりのものであるために、規模(ぽ)当たりの費用は低下するという性質を持っている。
つまり、このような契約や売買にともなう取引費用の固定費的な性格のために、規模の大きな住宅のほうが、このような平均取引費用は安くなると考えられる。
これが、相対的に住宅の規模が大きなほど有利な原因である。
表113にこの結果が要約されている。
借家契約にも、もちろんこのような契約にともなう取引費用が発生するが、持家にくらべればはるかに低いと考えられる。
借家契約については、前述のように、他人に貸すために発生するエージェンシー・コストが発生する。
他方、持家の場合には、一回かぎりであるが、固定費用を払わなければならない。
固定費用は規模が大きくなるにつれて、いうまでもなくその平均費用は低下する。
逆にエージェンシー・コストは借家の規模が大きくなるにつれて増加すると考えられる。
エージェンシー・コストと取引費用を合計すると、「小さな借家」と「大きな持家」が合理的なことがわかる。
これが持家の規模を相対的に大きくし、借家の規模を小さくする原因である。
いい換えると、規模の大きな住宅は借家として使うと不利であり、持家として使うと合理的である。
それは、前述のように、大きな住宅を借家として使うためにはかなり大きなエージェンシー・コストを負担しなければならないからである。
他方、規模の大きな住宅を持家として利用すると、規模当たりでみる平均固定費用はかなり節約できる。
逆に規模の小さな家についてはどうであろうか。
規模の小さな家については、人に貸したほうが有利である。
それを持家にすると、規模当たりの平均固定費用が高いために規模の利益が実現できない。
これに対して、それを借家にすると、エージェンシー・コストを相対的に低くできるからである。
ワンルームタイプのマンションは、自分で住むよりも他人に賃貸したほうが有利なのである。
以上で、持家は規模が相対的に大きく、借家は相対的に規模が小さいことが説明された。
このような事実は、どの国でも観察される。
右の説明では、税制の存在は仮定しなかった。
諸外国と日本の聞では税制が異なっているが、ここでは、税制の有無とは関係なく、持家の規模は大きく借家の規模は小さいという事実が、取引費用とエージェンシー・コストという概念を用いて説明されたのである。
それではなぜ、所得水準の低い人々は借家を選び、所得水準の低い人々は持家を選ぶのだろうこの間題は簡単である。
所得水準の低い人たちは住宅サービスに対する支出額も相対的に節約しなければならない。
これに対して、所得水準の高い人たちは住宅サービスの支出額も大きくなる。
住宅サービスが上級財(所得水準の上昇とともに需要が増加する財)であることを考えれば、これはきわめて自然である。
所得水準が高くなるにつれて、より大きな住宅を選好するようになる。
すでに述べたように、市場には小さな規模の借家と大きな規模の持家しか存在しなければ、所得水準の高い人たちは持家を選び、所得水準の低い人たちは借家を選ぶことになる。
繰り返しになるが、持家を規模の小さな住宅で保有することには大きなコストがともなう。
逆に、大きな規模の住宅を賃貸契約で供給するのは、これもまた引き合わない。
その結果、市場では規模の大きな持家と規模の小さな借家しか存在しないという「住み分け」が生じる。
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